合コン

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「あ、いや、そうじゃないんだ。」  しかし、私もモテない君というわけでもなく、過去、カッコいいと言ってくれる女も居た。初対面の女と一緒に飲めるだけでも楽しいかもしれない。そう思うと初めての合コンに参加したくなった。彼は恐る恐る訊いてくる。 「どう、す、る?」 「行くよ。」 「マジ?やったー!嬉しいー、君が居てくれると心強いよ。よっしゃー、頑張るぞー!アルマーニ着て行こー。」 「マジかい。」  やはり、勝ち目は無かった。女どもは皆、川崎を質問攻めにして、僅かでも共通点があると黄色い声と拍手のお囃子、中には足を踏み鳴らして猪突猛進様の女も居た。最後には女四人、川崎の前後左右を取り囲み、彼を拉致してどこかへ消えて行った。川崎の戸惑いと喜びと申し訳なさの入り混じった顔の印象だけが残り香のように、取り残された三人の脳裏を漂うことになった。  川崎以外の二人の男達と私とは面識が無かった。一人が少々ふてくされて早々に帰ってしまった後、残ったインテリ風の眼鏡男が私に話しかけてきた。 「ま、予想通りです。彼は大学の時から本人の意 に反して女の子を独り占めにしてきましたから。僕はいつの頃からか、彼が楽しく過ごせればそれでいいかな、って思うようになったので良いのですが。えっと、私は坂元といいます、」  三人の男達は合コン中殆ど名前を呼ばれなかったので互いの名前を気にも留めていなかった。 「ああ、俺は職場の同僚で吉月。俺も川崎にはいつも明るく居て貰わないと心配になるから結局何でも許しちゃうって感じだな。」  坂元は身長一六五センチくらいの細身で色白。シャープな顔立ちの割に笑顔に屈託がない。 「結局、川崎君は男の人にも好かれる、八方美人ならぬ十六方イケメンってところでしょうか。」  更に笑顔でいっぱいになる坂元に私は親近感が湧いた。 「なんだか阿修羅像を想像するなあ。あの顔の仏像が見つかったら即国宝だな。しかし笑える。」 「川崎君の仏像を売出したら結構売れるかもしれませんね。」
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