1人が本棚に入れています
本棚に追加
記録の整理は、思っていたより随分と大層なモノだった。
logは先程の流れる川のようなモノから、ボーリングの玉のような球体を取り出し、ソレを無数のビー玉のように分けた。
「コレが貴方の記録の全てでございマス。数は全部で6587個。まァ、一般的には少ない方デスが、物質的に記録したモノに限定されているノデ、この位の方も多いのデス。写真とか、お嫌いだったのデショウ。この中には貴方が記録したモノに加え、貴方の事を第三者が記録したモノも含まれます。貴方はこの1つ1つに触れるだけで結構デス。触れる度、容姿や、記憶、人間関係や個性をインストールしていきマス。辞めたくなったら、また私に声をかけて下サイ。」
「…コレの1つ1つに全部触るのか?」
「大変に思うかも知れマセンが、今の貴方は睡眠も食事も疲労もアリマセン。生まれ変わるのは時間を要するのデス。記録の無い野生の動物達と違い、人間は複雑なのデス。ではごゆっくり。」
言い終えると、logは省エネランプのように薄暗くなり、それ以降、喋らなくなってしまった。
…やるしかないようだ。
僕は腹を決め、近くのモノから順番に触れていった。
最初のコメントを投稿しよう!