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私はハルキの話を聞いている間、自分のカクテルをずっとちびちび飲んでいた。
何かこの雰囲気、いやだ。ハルキとはこんな話したくない。好きなお酒の話とか、最近読んだ本の話とか、趣味の話をしている方が、ずっと楽しいのに。
ああ、カクテル、飲み切っちゃった。注文したい。でも私、カクテルの種類、あんまり知らない。メニュー表取りたい。
そこで私はあれ、と思う。ハルキの話が止まっている。どうしたんだろう。ハルキの顔を見てみる。
ハルキはハルキと目が合った。私を、じっと何かをこらえているような表情で見詰めていた。
心臓が飛び跳ねた。私の考えていたこと、伝わっちゃった?罪悪感のような、気まずい感情で、胸がいっぱいになる。
「ハルキ、あ、あの」
「いや、ごめん。変なこと話してしまったのはこっちだ。自分の話ばっかしちゃって……みっともないな」
自重するような笑みを浮かべるハルキ。何で?何で謝るの?ハルキ、何か私に期待したんじゃないの?それを拒否したのは、こっちなのに。
「ごめん……なんか悪酔いしたみたいだ。先に帰るよ、ごめんな」
そう言って、ハルキは立ち上がった。いつもはどんなに駅が近くても、送るよって言ってくれるのに。
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