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「今日、佐々木さんスーツ姿でかっこよくてやっぱり俺とは住む世界が違う人だと思ってたんだけど、そんなことないみたいだね。でも本当に俺なんかでいいの?」
「いいです。私、植原くんがいい。植原くんが好・・・」
「俺も佐々木さんのこと、好きだよ」
「え、本当? い、いつから?」
「うーん、今かな」
「今?」
「だって好きになっていい人じゃないと思ってたから・・・そういう目で見てなかった」
「はあ・・・あの、そういう目で見られそうですか? 私あんまり色気とかないけど・・・」
「そんなことないよ。スーツの女性とこんなに近くで話すの初めてだから、そういう目で見ると興奮してくる。ねえ、それ暑くないの?」
職場から直行した私はスーツ姿だけれど、植原くんはTシャツ1枚だ。そう言われるとなんだか暑くなってきた。
「ああ、着替える暇なくて・・・」
「脱がせてもいい?」
「え、え、今?」
「だって明日帰っちゃうんでしょ。俺、明日は朝から仕事だし、今夜しかないよ」
そうだ。今夜を逃したら、またいつ会えるかわからない。20代なら次回に引き延ばすという選択肢もあるけれど、私達にはもう時間がない。
「じゃあ・・・ど、どうぞ」
私が立ったまま腕を広げると、彼はその腕の下に手を入れて私を抱き上げソファに運んでくれた。人生初のお姫様抱っこだ。そんなことを軽々と出来る逞しい男は初めてで感動していると、彼は私のシャツのボタンを外し始め、今日のブラジャーどんなのだっけと考えている間にそれを見られてしまった。
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