3.逞しくて可愛い男

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姪がいるとは聞いていたが、もっと幼いイメージだった。そうか、私達が中3の時出来た子だから彼女ももう中学生だ。それにしても美人のせいか大人っぽいなと思いながら深呼吸して、私は通話ボタンを押した。 「はい」 『植原です。ウチの敬、お邪魔してますか?』 ウチの敬。思わず目を見開いて敬と目を合わせると、服を着た彼は頷いて玄関に走った。私は急いで服を着ながら2人の会話に耳を傾けた。 「お早う、何?」 「今日石川さんの所9時からだから遅れないように言いに来ただけ」 「そ、そう。これから学校だよね、わざわざ寄ってくれてありがとう」 可愛いけれど気が強そうな声だなと思っていると、その声が一層鋭く尖った。 「嘘つき」 「えっ、え、何が?」 「シャツ、裏返しよ。さっきまで裸だったんでしょ」 「あ、ああ、あ、着替えないから脱いで寝た・・・けど・・・」 出て行くべきかどうか悩んだけれど、隠れているのも卑怯だろうと覚悟を決めて鏡を確認すると、私はゆっくり歩いて玄関に向かった。 「お早うございます、はじめまして佐々木です。この度は植原さんに大変お世話になりました。お陰様で犯人も捕まったし大丈夫だと申し上げたのですが、女独りでは不安だろうと泊まっていただきまして・・・」 挨拶して、姪子さんと目を合わせた私は震え上がった。あの目だ。中学の時、小テストを握り潰して私を睨み付けた敬の目。 「そうですか。仕事の準備があるので早く帰して下さい」 それだけ言うと、彼女は敬に視線を戻してため息交じりに言った。
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