1.可愛い少年

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翌日は土曜日で特に出掛ける用事もなく家にいたので植原造園に電話してみると、女性が電話に出た。 『お電話ありがとうございます。植原造園です』 親世代にしては声が若い。もしかしたら彼の奥さんかもしれないと思うと、なんだか言葉に詰まってしまった。 『もしもし?』 「あ、すみません、広告見たんですけど・・・」 その後は女性に明るく誘導されて、次の土曜日に職人さんに来て貰うことになった。植原造園が植原敬の実家かどうかは確認出来なかったし、そうだったとしても彼が家業についていない可能性だってあるし別の職人さんが来るかもしれない。でも、彼が来るかもしれない。元彼でも密かに片思いしていた相手でもないのに、私は少しドキドキしながら少年から大人になった植原敬が現れることを願ってその日を待った。
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