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「え、何、しようってそういう・・・」
朝の元気な体でもう一度抱かれた後、昨日食べ損ねたカップラーメンを一緒に食べながら、敬の家族の話を聞いた。職人気質のお父さん、元気で逞しいお母さん、そして優しいお姉さんと気が強いけど可愛い姪。
「姪子さん、目元が敬そっくりね。お姉さんも敬と似てるの?」
「ああ、似てるって言われるよ。写真見る?」
差し出された携帯画面には2人の美女がいた。1人はさっきの姪子さんだから、もう1人の方がお姉さんで、つまり母娘のツーショットなのだろうが・・・
「凄い、姉妹にしか見えない」
「17で産んだからね」
この2人と並んだら、確実に見劣りする。この美形一家の嫁になれるのか心配になってきた。でもそれは全然悪い気分じゃない。
「私も早く敬の子供産みたい。今度ゆっくり帰って来て、ご両親に挨拶に行くね」
「うん」
彼のご両親がすんなり私を受け入れてくれるとは限らないし、結婚までの道は険しいかもしれないけれど、この可愛い男を夫に出来るなら何にだって耐えられる。耐えてみせる。
『きっと幸せになれるわよ』
母の声が聞こえた気がして思わず辺りを見回すと、夏の庭で手を振るようにライムライトが揺れていた。母が好きだったその花に、頑張るから見守っていてと心の中で答えながら、私は笑顔で頷いた。
- 完 -
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