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「付き合っている彼女はいない。
詩暖さんには、今日も女性と会うはずだから、
といっただけだぞ。
オレには恋人がいる、などとひと言も言っていない」
どうやら麗子には屁理屈に聞こえたようだが、オレは真実を語ったまでだ。
麗子は少し考えて、笑みを浮かべて給仕のいるカウンターに駆けていった。
適当におかずなどをトレイに乗せて戻って来た。
「ここで食べちゃおぉーっと!」
妙に女らしくなってしまった麗子にオレは感動してしまった。
「やればできるんだな。
そんな顔、始めて見たな」
オレが言うと、麗子はまたオレを殴ろうとしたが、
愛想笑いを浮かべて鼻歌混じりで食事と格闘していた。
… … … … …
こんな日がひと月ほど続いた午後6時の学食のいつもの席。
麗子がつきまとうのではないかと思っていたが、全くそんな気配はない。
昼にはいつもこの学食でデートのような昼食を摂っているので、
それだけで満足なのかもしれないとオレはひとりほくそ笑んだ。
すると目の前に神々しいお方がいきなり現れた。
オレは、眼が点になった。
「…あのぉー…
失礼ですが、ご同業の方で?」
オレが小さな声で言うと、彼女は満面の笑みでオレを見ている。
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