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妙だな、と思いながらコーヒーカップを口に近づけると、目の前にいた。
今はいなかったはずだ。
オレは驚いたのだが、目の前にいる少女に近い女性を観察した。
そしてオレは、左肘をついて顎を乗せ、右を向いて窓の外を見る振りをした。
「…あのぉー…
今日は私です。
どうか、よろしくお願いします」
「こんなポーズでゴメンね。
誰もいないのにひとりで話すとみんなに変な眼で見られてしまうから」
「はい!
もちろんわかってましたわっ!
…でも私、驚かれちゃうって思ってて…」
「十分驚いたよ…
オレはできれば目立ちたくないからね。
これでもかなり我慢したんだよ。
…さっき、君の声でない人にお願いされたんだけど、心当たりある?」
「…あのぉー…
ごめんなさいっ!!」
女性は目一杯の声で言い放ち、頭を深く下げた。
「…言ってはならないって、言われちゃって…
修行を積んで欲しいからって…」
オレがやっている修行で思い当たることはひとつしかない。
オレはこれだけのために生きていると言っても過言ではないからだ。
「どういうことだかなんとなくわかったよ。
だが問題は、君とどう関係するかなんだけど…
…まあいいか。
これも修行ということで。
…今夜、よろしくね」
女性は頬を赤らめ下を向いた。
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