6/15
前へ
/15ページ
次へ
オレは彼女を昇天させるための存在なのかと。 普通は悪霊払いなどであるべき場所に戻すのだろうが、 彼女の望むことをして満足させてまた新たな生を受ける。 オレは一体なんなんだと考えてしまった。 だが、かなりの美少女だったので、オレとしては満足だった。 そしていきなりいつもの様にわけのわからない夢が始まった。 … … … … … 「…ねえ、結城君…  …お願い… あるんだけどなっ!」 彼女は幽霊ではない。 オレの隣で立ってポーズを決めている女性は人間で、 この大学のミスキャンパス、御陵詩暖(みささぎしのん)だ。 今は午後12時を少し回っていて、オレは学食にいる。 オレはごく普通に詩暖に向かって笑みを浮かべた。 「オレのできることなら何でも」 詩暖は喜び勇んで、オレの左腕を彼女の両腕で取った。 「彼氏になってっ!!」 彼女は満面の笑みでオレにいった。 オレは一瞬だけ考えた。 「悪い、それは無理だ。  今日も女性と会うはずだから」 詩暖は、『…なななな、なんだってっ! 私が振られるはずがないっ!』 といった顔をして固まってしまった。 「ほかのことだったらいいよ」 オレが気さくに言うと、 詩暖は信じられないものを見るような顔をして、走って学食を出ていった。     
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加