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コーヒーに一口、口をつけると、
「そういや、昨日から親戚を下宿させてるんだって？ どっちだ？」
思い出したようにそう尋ねる。
「あ、はい、そうなんです。高校二年の女の子で。確か、源蔵さんとこの元樹君と同じ高校だと思います。今日が初日なんですよ。邦陽高校に登校していきました」
「そうか。そのことは一応、元樹にも言ってあってよ。困ってるときは助けてやれって。ただ、どっちかわかんなかったから。とりあえず、聞いてみただけだ」
とかなんとか言いつつ、源蔵さんの態度はどこかよそよそしい。
きっと、若い男女がひとつ屋根の下で暮らすことをいろいろと心配して確かめに来たのだ。下宿人が女の子であるということも、前もって知っていただろう。
源蔵さんの奥さんである幹恵さんは、町役場に勤めている。
野乃の役場での手続きを済ませる際に対応してくれたのが彼女なので、変に噂が広がる前に豪快な源蔵さんにクリーンな下宿であることを触れ回ってもらおうという、幹恵さんからのありがたいお節介だ。
「いろいろとご心配していただいて、ありがとうございます」
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