■第一話 金魚倶楽部とカプチーノ

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 野乃が元樹君とともに学校から帰ってきたのは、午後四時半頃だった今の時刻は六時十分。  寄り道をして帰るにはまだ十分に早い時間帯だけれど、やはり保護者の身としては一時間半も出かけたきりというのも、なかなかに胃がしくしくと痛むものだ。  恋し浜界隈の治安は、言わずもがな、いい。  赴任してくる駐在さんともすっかり顔馴染みのここの人たちは、とれた魚や野菜などを駐在さんにもおすそ分けしている。  なので、そういう面での心配はするだけ無駄だというものだけれど……。 「今日もあいつ、クラスの女子に話しかけられても反応薄くてさ。ていうか、集団で来られると、やっぱどうしてもビクついちゃうところがあって。心配だからそばにいてやりたいんだけど、そういうの、野乃にとっては迷惑でしかないのかな……?」 「そこなんだよね。俺も野乃ちゃんにどこまで踏み込んでいっていいのか、ちょっと測りかねてる部分がまだまだあってさ。良くも悪くも〝人〟に敏感に反応する子だから、俺もそこらへんを心配してるんだ。戻ってこないことはないと思うけど、心配だよね」 「ですよね……」
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