■第二話 エスプレッソにはスプーン一杯の砂糖を

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 朝食は和食だったり洋食だったり、日によってまちまちだ。晩ご飯はだいたい和食が中心だけれど、ハンバーグだったりパスタだったり、洋風のものもよく食べる。  昨日は店に来てくれた〝ベーカリー堀江〟の奥さんである堀江(ほりえ)芙美(ふみ)さんから手作り食パンを一斤もおすそ分けしてもらったので、さっそく朝食の席に出すことにした。  冷凍させておけば急いで食べなくても大丈夫ということだけれど、できるだけ美味しいうちに食べようと思う。 「あ、先に食べてて。学校の時間もあるでしょ?」  律義に待っている野乃に言うと、彼女は「すみません」と申し訳なさそうに言ってから「いただきます」と焼きたてトーストにかじりつく。  ベーカリー堀江の手作り食パンは、耳までふわふわ、中はもっちりとした食感だ。  パンがちぎれたところからほうほうと湯気が立ち、渉のお腹はさらに空腹感が助長される。実に美味しそうだ。  それから四~五分ほどトースターで焼いて、渉も食パンにかじりつく。こんがりときつね色のそれからは小麦とバターの風味が絶妙な具合で混ぜ合わさっており、香りといい、味といい、とにかく最高だった。
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