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「まあ、人生はすごろくと一緒なんだから、やめるのも自由なんだけどね」
鳥はキンキンと響く声で囀る。頭に刺さる。非常に不愉快な声だ。
「だって、君の母親はサイコロを振ることを止めてしまったじゃないか。君もそれにならえばいいんだよ」
くつくつと笑うように耳をつんざくように鳥は囀る。
思い出してしまう。母の最期を。僕は望んでない、あんなものは嫌だ。
「さ、ここで寝てしまおう。立ち上がるのもおっくうだろう。一休みといわずに、ずっとここで休んでしまおう」
鳥は嬉しそうに楽しそうにキャンキャンと囀る。
僕は寝ころんだまま地面を叩いた。
あんなものは認めない。
僕はゆっくりと起き上がった。
そんなものは認めない。
「人生がすごろく?ふざけんなよ」
結局は母も愛想をつかされただけだ。
金に目がくらんで父を見ようともしなかった。
父はそんな母の子である僕を見ようともしなかった。
「僕はさいころなんて握っていない。進むのはいつだって自分の意思だ」
僕はこの場所から歩き出した。
鳥が囀る。何か言っているが僕には一切聞こえなかった。
さいころなんてない。さいころの目の分だけ、誰が進めてくれるというのか。
進むのはいつだって自分自身だ。
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