「砂糖」「丘」「肉屋」

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「砂糖」「丘」「肉屋」

 柔らかい風が吹いていた。  きっと、風邪に誘われたのだ。  僕は村を抜け出して、丘のほうへと歩いて行った。  いつもだったら教会に行って字とか計算とかを学ばなきゃいけないんだけど、こんないい天気の日に部屋にこもっているほうが問題だと思う。  いつも大人にはいってはいけないといわれている丘の向こうに行ってみようと思った。  心地の良い追い風に吹かれるまま、僕はゆっくりと丘を登っていった。  登り切った先は森だった。  なるほど、確かに森に子供で行くのは危険だ。大人たちは正しかったのだと僕は納得した  ふと後ろを見れば僕たちの村が向こうの先に見えた。  そんなに歩いたつもりはないけれど思ったより高いようだ。  村の端から端まで一望できる。なんだか偉くなったみたいに気分がいい。 「坊主、一人か」  突然、後ろから声をかけられた。  振り返ると僕の腕とは比べ物にならないくらい太い腕、ごつい体つきの大男がいた。  白いエプロンのようなものを付け、ひげはきっちりしているもののしっかり生えている。  細目がなんだかミスマッチだ。 「おじさん、だあれ」  大男は後ろで手を組んだまま、僕を見下ろしていた。     
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