(二〇)

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 ゴールデンウィークの祝日の昼、速水は春香と梅田の繁華街を歩いていた。  亜美に関することを聞かされた春香が落ち込んでいたので、速水が気晴らしに誘ったのだ。 「はぁ?、ショックやわぁ…先生と付き合ってるどころか、妊娠やなんて…」 「まあ、起こってもうたことはしゃあないやろ」 「うん…」 「それで、学校の方はどないなっとる? 津田先生、教師辞めたて聞いたけど…」 「うん、音楽関係の仕事をするとかって聞いたわ」 「亜美ちゃんの方は? 家の方もエラい騒ぎやないんか?」 「そうやねんけど、津田先生が責任取る言うて、亜美ちゃんの家に挨拶に行って、なんとかまとまるみたいやわ」 「そりゃ良かったわ」  しかし、春香の顔は晴れない。 「どした?」 「うん…亜美ちゃんて、先に大人になったんやなあって…」 「そない思うんやったら、お前も早う彼氏を作るんやな」  速水はそう言って欠伸をした。  春香はそんな速水の左腕に両手を回し、 「ね、ホンマに今日、好きなもん買ってくれるん?」  と、聞いた。 「あ、ああ…」  速水は落ち込んでる春香を励ます意味で、今日のショッピングに誘ったのである。 「そのかわり、あんま、吹っかけんなよ」  財布の中身を想像して、速水は不安そうに言った。 「ど~かなあ」  春香が笑って言うと、両手に力をこめた。                (終)
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