(〇三)

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 亜美の部屋は六帖の洋室で、シングルベッドに勉強机、本棚と、高校生としてはありがちな部屋だった。  部屋は整然としており、勉強机の上も、綺麗に片付いてある。  三人は亜美の部屋に入り、速水と朱里が、なるべく散らかさないように心がけて、捜索する。 「亜美さん、楽器は何を?」  と、速水が聞く。 「クラリネットです」 「そうですか…」 「お子さんは、亜美さんだけなんですか?」 「ええ」  すると、 「綺麗に片付いてますね。私なんか散らかしっぱなしで、よく親に怒られましたわ」  と、朱里が感心するように言った。 「誰に似たのか、綺麗好きなコでしたから」  部屋を一通り捜索したが、何も手がかりになりそうなものは無かった。  しかし、朱里には気になることが一つだけあった。 「あの、パソコンの類いは無いんですか? 亜美さんぐらいの世代だと、ノートパソコンぐらい持ってそうな気がするんですけど…」  美恵は机の上を見て、 「あら? いつもは机の上にあるんですけど…」  と、不思議そうに言った。 「ノートパソコンなら、閉じてその辺にあるんやないか?」  と、速水は朱里に話しかけるように、周囲を見渡すが、 「無いな…」  と、呟いた。 「亜美さんが持ち出したのでしょうか…」  朱里は再度、美恵に聞いた。 「多分…」 「ノートパソコンのサイズ、わかりますか?」 「ええ、結構小さいサイズです」 「すると十インチぐらいですか?」 「そうだと思いますけど…」  速水と朱里は、ここが頃合いだと見計らい、速水が、 「それでは、学校へ行ってみますので、失礼します」  と、言った。 「よろしくお願いします」 「あの…」  と、朱里が声をかける。 「ご主人は、お仕事ですか?」 「ええ。本人もひじょうに気にしているんですが、どうしても休めないもので…」 「そうですか」  こうして二人は羽田家のマンションをあとにした。
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