(〇五)

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 春香と亜美の通う桜蓮女子高等学校は箕面市の小野原にあった。  小野原は豊中市寄りにあるので、新千里北町からも比較的近い位置にある。  教会を模した校舎は清潔感があり、その佇まいは優雅な雰囲気を持っている。  速水と春香は、受付で来意をつげると、来客用の部屋に通された。  暫く待たされた後、美恵から教えられた津田教師が入って来た。  彼は細い黒縁の眼鏡をかけ、やや細身だが、知的な雰囲気を漂わせていた。  本来なら、亜美の担任教師に会うのが先なのだが、今日は体調不良で休んでいると聞かされ、津田が先になったのである。 「すいません、お待たせして」  と、津田は恐縮して言った。 「いえ、こちらこそ、授業の邪魔をして、すんません」  と、速水が返事を返した。 「授業やったら大丈夫ですよ。私は音楽担当なんですが、元々、吹奏楽部に比重を置いてるさかい、受け持ちの授業数は少ないんですよ」  津田は軽く微笑んで言った。 「そうなんですか…」  と、速水が言う。 「それで、羽田さんのことでしたよね」 「はい。箕面の警察に聞かれたことと重複すると思いますが、よろしくお願いします」  速水がそう言って、軽く頭を下げた。  二人は霧島の計らいで、事前に箕面の警察署の担当者から、電話にて一通りの説明を受けていた。 「かまいませんよ。それで羽田さんが見つかるんやったら、何でもお答えします」 「助かります」  速水はここで、チラッと朱里を見る。  すると朱里が、 「では最初に、今週の月曜日の事について、教えてください」  と、質問を始めた。  速水と朱里は事前に打ち合わせをしており、男性への主要な質問は朱里が担当し、速水が相手を観察、女性はその逆をすると決めたのである。 「亜美さんは、朝は普通に登校されたと聞いてますが、間違いありませんか?」 「それはわかりませんね」 「と、言いますと?」 「私は彼女の担任とちゃいますから、わからないんですよ。それに、彼女の授業も担当してませんので、部活の時間までは、そないに会うことはありません」 「では、放課後の部活では見ましたか?」 「ええ、ちゃんと来てました」 「そうですか」  速水と朱里が箕面の警察署で聞いたところによると、亜美は下校するまでは確認されていた。
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