(〇六)

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 亜美が行方不明となり、彼女の担任の教師…宮田鈴江(二十六歳)と、彼女が親しくしている先輩が共に学校を休んでいるのは偶然だろうか…  二人はそんなことを考え、久保田優子と宮田鈴江の住所を教えてもらうと、一旦、車へ戻り、速水が霧島へ連絡を入れて、状況を報告し、朱里と持った疑惑を伝えた。 「…それで、先に久保田優子や宮田鈴江の聞き込みに行ったほうがいいスかね」 『いや、お前たち二人は学校での聞き込みを続けるんや。今、お前が言った二人はこちらで当たらせる』 「えっ…そこまでしなくてもいいスよ。元々、俺が頼まれたことなんスから。こっちで行きま…」  速水が最後の言葉が言い切らないうちに、 『アホ! 人が一人行方不明になっとる上に、事件性があるかも知れへんのやったら、捜査するんが警察の仕事やろが。とにかく、俺の言う通りにせえ!』  と、霧島に怒鳴られてしまう。  速水は通話を終えると朱里を見た。  朱里は笑いをこらえていた。 「ンだよ。どうせ、怒鳴られたわ。あかんのか」 「なにも言ってませんやん」  速水は憮然となるが、気を取り直し、朱里と共に津田の元へ引き返し、飯島加奈子との面談をお願いした。  数分後、応接室で二人の前に、緊張を隠せずにいる飯島加奈子が座っていた。  加奈子はこの春に高校生になったからだろうか、どこか幼さの残る顔立ちをした、ショートカットの髪型の女の子だった。 「そないに緊張せんでええからね」  と、速水が優しく声をかけた。 「はい」  と、小さな声で返事をした。 「俺たちがなんで、君に来てもらったのかは、聞いてる?」 「はい…羽田先輩のことですよね」 「そう。君は月曜日の夕方、クラブで一緒やったんよね?」 「はい」 「クラブが終わってからは?」 「終わってから…ですか?」 「一緒に帰ったとか、誰かと一緒に帰るんを見たとか」  加奈子は少し考えて、 「羽田先輩は一人で帰ったと思いますけど」 「一人で? クラブの人とかと帰らなかったんかな?」 「たぶん…私、羽田先輩とは途中まで帰り道が一緒やから、いつも一緒に帰るんですけど…月曜日は違いました」 「なんで一緒に帰らへんのか聞いてみた?」 「聞きました。そしたら、今日は約束がある言うてました」 「約束?」  初めての取っ掛かりだった。
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