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速水の質問が突拍子すぎたのか、亜美も津田も、ポカンとした表情を隠せなかった。
その反応を見て、速水は慌てて手を振り、
「いや、しょうもないこと聞いてゴメン。あるわけないわな。今の質問、忘れてや」
と、四苦八苦した。
どうやら、この様子だと、久保田優子絡みの件や黒沢殺しの件は関係なさそうだった。
羽田亜美は見つかった。
しかし、速水はこうした事情を春香にどう説明したものか、それが悩みの種だった。
阪急関大前駅の周辺は、学生向けのワンルームマンションが数多くあった。
その関大前駅から少しばかり歩いた、隣の阪急豊津駅との間にある円山町は、戸建てと大小様々なマンションがある。
その一角、宮田鈴江が借りている三階建てのワンルームマンションの前に、葛城と滝矢、上田警部と東淀川中央署の刑事や警官たちがいた。
葛城の提案で取り敢えず、葛城、滝矢、上田の三人が、宮田鈴江の借りている二階の部屋に向かい、他は外で待機することとなった。
葛城が一度、インターフォンを鳴らす。
しかし、返事がない。
葛城はゆっくりと何度かインターフォンを鳴らした。
「宮田さん! いませんか!」
葛城がうるさくない程度に怒鳴る。
それでも返事がない。
「宮田さん! 警察です! ちょっと話があるんですがね!」
葛城がドアを叩く。
「宮田さん!」
すると、中で物音が聞こえ、ドアのロックを解除する音が聞こえた。
葛城、滝矢、上田の三人が顔を見合わす。
ホラー映画さながら、ゆっくりとドアが開くと、そこに、薄い赤のワンピースを着た、美人だが能面のような表情をした宮田鈴江が現れた。
「宮田鈴江さんですね」
葛城が尋ねると、鈴江は小さく頷いた。
部屋の奥が暗くて見えないことを確認した滝矢が、
「部屋に誰かいますか?」
と、質問した。
鈴江が無言のまま道を譲ると、滝矢と上田が中に入って行った。
葛城は鈴江の様子をジッと観察していると、彼女のワンピースの所々に、血痕らしきものが付いているのが見てとれた。
「そのワンピースの染み、血じゃないですか?」
しかし、鈴江は応えない。
その時、滝矢が姿をあらわし、
「久保田優子がいました」
と、言った。
葛城は滝矢に鈴江を任せると、中へ入った。
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