(〇一)

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 春香はいちごパフェ、速水はアイスカフェオレである。 「で、相談したいことてなんや? 好きな人でもできたんか?」  と、速水がからかうように言うと、 「そんなんやったら、トキちゃんなんかに相談せえへんわ」  そう春香にあしらわれた。  そんな二人を遠目に見ていると、速水が童顔のためか、同世代の恋人同士にしか見えない。 「ほな、なんや?」 「…あんな、うちの友達が行方不明になってん」 「行方不明?」 「うん」 「いつから?」 「ん?、今日で四日かな」  速水は日にちを計算した。  その友達は週明けの月曜日に行方不明になったことになる。   「その友達っちゅうのは、同級生かなんかか?」 「同じクラスのコで羽田亜美ちゃんていう、小学校からの幼馴染みやねん」 「ふうん…」 「トキちゃんもウチに来た時に、何回か見てると思うで。ほら、ちょっと色の白い、お姫様みたいな感じのコで…」  春香に言われて思い出したのか、 「ああ、春香と正反対の、あのおとなしそうな女の子か」  と、速水が率直な感想を述べた。 「正反対は余計や」  と、春香が少しむくれる。  そこへ、二人の注文が届く。  速水はストローをカフェオレのグラスに入れて、カラカラとかき混ぜる。 「それで、俺にどないせえちゅうんや?」 「トキちゃん、刑事やろ。探してくれへん?」 「アホ、そら無理や」 「なんで?」  と、春香が不満そうに言う。 「なんででもや。第一、五日も行方不明になっとったら、その亜美ちゃんの親がとっくに捜索願を出しとるやろ。違うか?」 「うん…お母さんもそない言うてたわ」 「せやろ? せやったら警察としても、今はこれ以上なんもできへんで」 「そんなあ」 「そんなもこんなもあるかい。さ、そのパフェ食ったら、家まで送ったるわ」  速水が素っ気なく言うと、 「なんで無理なん?」  そう春香が質問した。 「大人の事情や」 「ずっる?! 自分も子供みたいな顔して、何が大人の事情なん」  と、春香が速水に喰ってかかる。 「うるさいわ。お前と幼馴染みってことは、豊中の警察署に捜索願が出てるんやろ? せやったら、あとはそこに任すしかないわ。大体、なんでお前がそこまですんねん」 「心配やからやん。それに、ウチにはトキちゃんていう刑事の従兄弟がいるからや」 「刑事は便利屋とちゃうで」
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