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宮田鈴江を確保したのは夕方だったので、彼女の取り調べは翌日回しとなった。
その間に、病院へ搬送された久保田優子が眼を覚ましたと教えられたので、加賀屋と冴子が供述を取ることになった。
ベッドに横になっている優子は、加賀屋と冴子が来ると、半身を起こした。
「いいのよ、横になってて」
冴子が優しく声をかけた。
加賀屋は一歩下がり、冴子がベッド横の椅子に座った。
「どういうことか、話すことができる?」
優子は小さく頷くと、ポツリポツリと話をした。
彼女の語ったところによると、宮田鈴江は真性のレズビアンだったという。
そして優子はレズビアンではない。
では何故、優子が鈴江とマンションにいたのか…
鈴江は二年近く前から、飯島加奈子と関係があったという。
「ちょっと待って、飯島さんはその頃やと中学生よ。宮田との接点が無いわ」
と、冴子が話を止めて質問した。
「宮田先生と飯島さんは、ネットを通じて知り合ったそうです…」
二人は元々、吹奏楽が趣味ということで知り合ったらしいのだが、いつの間にか大人の関係になったと言う。
優子が言うには、鈴江にはミステリアスな魅力があるらしい。
春香は無愛想と言っていたが、これは捉え方なんだろう。
そして、加奈子は鈴江の傍にいたくて、桜蓮女子高を受験し、入学した。
ところが、鈴江は優子に関心を持ち始めた。
きっかけは去年の一学期中に、鈴江が体調を崩して、吹奏楽部の顧問を退いた時である。
優子は鈴江の身体を心配して、励ましたりする為に、何度かプライベートでも会いに行ったのだ。
どうやらそこを、鈴江が住む本来のマンションの居住者に目撃されたらしい。
そして二人目の女子高生は、加奈子だろう。
とにかく、そんな優子に惹かれた鈴江は、加奈子が高校に入学してくると、その存在が重くなり、彼女を邪険にした。
「宮田はよく、そんなことまであなたに話しましたね」
と、冴子が不思議そうに聞いた。
「多分、私に振り向いて欲しかったんやと思いますけど…」
そう言いながらも優子自身、鈴江の心理状態が理解出来なかったと言う。
ただ、今の話でわかったことは、加奈子は鈴江に捨てられたと思い、自殺未遂事件を起こしたのだろうということだ。
冴子がそのことを優子に伝えると、
「飯島さんが…」
と、呆然となった。
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