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そして翌日、宮田鈴江の取り調べは、上田警部の計らいで、府警本部にて行われることになった。
取り調べは葛城と滝矢、そして上田警部の三人が担当した。
しかし、女性の取り調べなので、朱里も立ち会っている。
鈴江はワンピースから、白のTシャツとジーンズに着替えさせられ、俯いて座っていた。
「あなたが、黒沢達彦を殺したんか?」
と、主尋問を担当した葛城が聞く。
しかし、鈴江は応えない。
「あなたが着ていたワンピースと、吹田市円山町のワンルームマンションの部屋で見つけたコートの内側から、黒沢さんと同じ血液型の血痕が採取されたんですよ。どうなんです?」
それでも鈴江は応えない。
「あなたは黒沢さんを刺したあと、目立たないようにと、コートを着たんやないですか?」
「…はい…私が殺しました」
鈴江は俯いたまま、ようやく小さな声で応えた。
「何故、殺したんですか?」
鈴江は応えない。
「宮田さん…?」
「…あいつが…」
と、鈴江が呟く。
「え…?」
「…あいつが優子さんを奪おうとしたからよ!」
鈴江は顔を上げ、鬼神のような表情で葛城を睨みつけた。
その迫力に、滝矢、朱里、上田は圧倒されるが、葛城は淡々と、
「あいつとは、黒沢さんのことやな?」
そう鈴江に語りかけた。
「そうよ」
「しかし、奪おうとするもなにも、久保田優子さんは、あなたのモノでもあらへん。違うか?」
「あのコはね、男なんて汚らわしいモノに触れられたらあかんのよ。それを、あいつは…」
「せやから、殺した…?」
「それだけやない。あいつは私のことを異常やって言うたのよ! 異常やって! 許せるはずないやん!」
葛城は鈴江が落ち着くのを待ってから、質問した。
「どうやって、黒沢さんの家に入ったんや?」
「優子さんからの言伝てがある言うて、入ったんや」
「それだけで、入れてくれたのか?」
「あと、優子さんのことで、話がある言うたわ」
これは、鈴江が優子を吹田市円山町のワンルームマンションに誘い込んだのと同じ口実だった。
単純だが、気になる相手の名前を出して誘い出すのは、効果的である。
「ところで、吹田市のワンルームマンションだが、あれは本当に、音楽の為に借りたんか?」
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