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「でも、トキちゃん、前に言うてたやん。トキちゃんのおるゼロ係は、便利屋みたいなもんや…て」
春香の言葉に、速水は困り果てる。
何故なら春香の言う、速水が所属する
ゼロ係とは、捜査一課の所属だが、実際には捜査課全般が扱う事件で、応援が必要、或いは、人手不足の遊撃部隊だから、彼はそれを揶揄して、便利屋と言ったことがあるのだ。
しかし実際は、速水の上司で優秀な捜査官である霧島警視が、事件に大小はないという信念のもとに設立させた部署なのである。
それを便利屋と言った速水は、自らの軽率な発言を呪った。
「それはやな…」
と、速水は困惑する。
「ね、お願い! 亜美ちゃんを探して!」
春香が両手をテーブルについて、身を乗り出して懇願する。
速水の視界に、春香の胸の谷間が入る。
(こいつ、いつの間にこんなに成長したんや…)
速水は視線をそらし、
「わかったよ。いっぺん、管理官に相談してみるわ」
と、言った。
「管理官?」
「俺の上司、霧島警視のことや」
春香が満足そうな笑顔を見せる。
速水は眼をそらしたまま、
「ブラジャー、見えてんぞ」
と、言った。
すると春香は、少し顔を赤くして座り直し、
「トキちゃんのスケベ!」
と、言い放つのだった。
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