(〇一)

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「でも、トキちゃん、前に言うてたやん。トキちゃんのおるゼロ係は、便利屋みたいなもんや…て」  春香の言葉に、速水は困り果てる。  何故なら春香の言う、速水が所属する ゼロ係とは、捜査一課の所属だが、実際には捜査課全般が扱う事件で、応援が必要、或いは、人手不足の遊撃部隊だから、彼はそれを揶揄して、便利屋と言ったことがあるのだ。  しかし実際は、速水の上司で優秀な捜査官である霧島警視が、事件に大小はないという信念のもとに設立させた部署なのである。  それを便利屋と言った速水は、自らの軽率な発言を呪った。 「それはやな…」  と、速水は困惑する。 「ね、お願い! 亜美ちゃんを探して!」  春香が両手をテーブルについて、身を乗り出して懇願する。  速水の視界に、春香の胸の谷間が入る。 (こいつ、いつの間にこんなに成長したんや…)  速水は視線をそらし、 「わかったよ。いっぺん、管理官に相談してみるわ」  と、言った。 「管理官?」 「俺の上司、霧島警視のことや」  春香が満足そうな笑顔を見せる。  速水は眼をそらしたまま、 「ブラジャー、見えてんぞ」  と、言った。  すると春香は、少し顔を赤くして座り直し、 「トキちゃんのスケベ!」  と、言い放つのだった。
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