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課の方にも颯一郎さんから急な連絡が入っていたようで、終業後に管理課の課長が声をかけてきた。
「正直明日から君に抜けられると困るのだけれど……本来なら先月末には産休に入っているはずなんだしなぁ……引き留めたこちらにも問題があるし……」
「すみません、勝手なことを……。あの、副社長はああいっていますけれど、引継ぎをしに何度か出向きますから」
「私もいますから、大丈夫ですよ、課長」
頼もしい平川さんが加勢に入ってくれる。
「副社長は自分の秘書は必要ないと言ってくれていますし、ブランシュのお仕事には私が付きますので、橘さんにはお休みに入っていただいて大丈夫ですよ」
「平川君がそう言うなら……安心してお休みに入ってくれ」
課長もそう背中を押してくれた。ちょっと後ろ髪を引かれる思いもあるが、ブランシュは私が少しの間、抜けたくらいではびくともしないだろう。
今は、家庭のことに専念してもいいのかもしれない。
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