1章

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チラリ。彼と目が合う。 すかさず目を逸らす彼。 きっと私は、今、氷河期みたいに冷たい顔で彼を見ているんだろう。 『謝ったからって何になるの? そう言ってやればいいのに。』 雨が私に囁く。 パタパタと傘の上に跳ねる。 『一発殴ってやればいいんだ。そんな男。』 もう一度雨が囁く。 私の頭の上から音が降ってくる。 …殴ってやる価値もない、こんな男。 「ホントにごめん…」 「もういい」 彼の言葉に被せる。 もう謝罪はたくさんだ。
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