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今も、忘れない。
僕が彼に出逢ったのは、僕がこの街に引っ越してきた初日。新しい街の探検の途中。川沿いの土手を散策していた時だった。
枯れ草が半分位を覆っている斜面の真ん中辺りに、浅黒い肌の少年が膝を抱えてじっと何かを見ている。
そんな姿が、ふと僕の目に止まったんだ。
「何をしてるんだろう?」
気付かれないように回り込み、丁度その少年の横顔が見える位置まできて僕ははっとした。
少年が見ていた何か。それは泥に汚れた一匹の猫。
僕と同い年か一つ上か、それくらいに見えるその少年は、猫をあやすでも撫でるでもなく、ただギュッと唇を噛みしめて睨みつけるように猫を見下ろしている。
何となく興味をひかれ、少年と猫の方へと一歩足を踏み出した僕は、次の瞬間、不覚にも小さな声を上げてしまった。
「……!」
しまったと思った時はもうすでに手遅れで、少年はぱっと顔をあげきつい眼差しで僕の方へ顔を向けた。
「何だ。お前?」
「あ…あの……その猫……」
よく見ると猫の腹の辺りが赤黒く変色している。
「怪我……してるの?」
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