キノシタ

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キノシタ

 二〇一八年六月二十三日。じっとりと雨が降っている、梅雨の半ば。私は学校の玄関にいた。 市立北尾原高校。今年で創立百四十周年を迎える、大きな学校だ。  私は日村菜穂(なお)。料理研究部(料研)に所属している高校二年生。元々友達の少ない私は孤独を感じていたが、この部活に入って仲の良い友達ができた。  私はこの学校が好きだ。制服がかわいいからだ。セーラー服を薄いピンク色のワンピースにして、リボンを紐にした感じの、かわいらしい制服。それを、着てみたかった。 「菜穂~、おはよう~。」  後ろから友達の笑海が笑いながら走ってくる。私と同じ部活に所属している、仲の良い友達だ。 「嗚呼、おはよう。今日、早く来たんだね。いつも遅刻ギリギリなのに。」 「うん、部長の所に行こうと思って。明日の部活について聞こうと思って。ねぇ、菜穂も行こう?」 「そうだね、行こっか。」  私は笑海と一緒に教室を静かに出た。  明日は部活。そうでなかったら、不思議なことに巻き込まれなかったのかもしれない。
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