ズルズル

3/6
前へ
/6ページ
次へ
「え? 僕がもう一人」  驚きのあまり気の利いたことは言えず、ただ目の前の状況を僕は口にした。  なにこれ? 夢か? わけわかんない  混乱して立ちすくんでる僕にもう一人の僕は 「何、俺見て驚いてんの?」 「そりゃ僕がもう一人現れたら驚きますよ」  なんか変な感じに喋っちゃった。ていうかもう一人の僕、俺って言ったな。 「なにその感じ、俺もお前も俺なんだからフランクに行こうぜ。俺の事は気軽に名前で呼んでいいぜ」 「僕も君も同じ名前だから呼ぶとなんだか気持ち悪いよ」 「それもそうか」  短い会話が終わると、特に何もするわけでもなく静かになってしまった。  お前、僕にしては明るい感じだし、黙らないでくれよ気まずいな。  沈黙が続いている中もう一人の僕はふいに「そうだ」と大声を出した。  なんだ? 「お前は僕って言うから僕くん。俺は俺って言うから俺くんな」  僕は頭に疑問符を浮かべているともう一人の僕は続けた。 「お前が名前呼び嫌だって言ったから考えたんだぜ。それともこれも嫌なのか?」 「それで大丈夫」 「よかった。よかった。なら僕くん、俺に聞きたい事とかある?」  急な質問にびっくりしたが僕は一番気になっていた事を聞いた。 「俺くんは何しに現れたの?」  僕の問いを聞くと俺くんは、何かを思い出した様子を見せ興奮しながら答えた。 「そうだ。俺は雪ちゃんに告白しに来たんだった。」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加