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憶えてないのか、そりゃあ態度も喋りも違うわけだ。
「行っていいか? 僕くん」
「ダメだよ。君は知らないかもしれないけど振られたんだ僕たちは、なのに翌日告白しに行ったら頭おかしい奴じゃないか」
「頭おかしい行動でも好きなんだよ、しかたねえよ。俺振られてねぇのに納得できない」
「いい加減にしてくれ」
僕は大声を出してしまった。
家では一人なのに他人と喧嘩か。近所になんて思われるだろう。
それでも僕は言葉を引っ込める事は出来なかった。
「次学校に行くのは僕だ。失敗したら学校でなんて言われるか、僕はこれ以上自分の足を引っ張る嫌な記憶は作りたくないんだ」
「そうか。でもな、その失敗したくない気持ちが足引っ張ってるんじゃねぇか?」
え、この気持ちが足を引っ張ってる?
「失敗したくないと思って告白で腹壊して、失敗したくないと思って緊張して喋れなくなる。失敗してもいいじゃねえか。もう一度告白してもいいじゃねえか、納得できる告白じゃなかったんだろ」
「でもでも、それでまた傷口開いたら」
「そうなっても、失敗は引きずる必要ないさ憶えとくのは良い記憶だけでいいじゃん。それに俺は振られるつもりはないぜ」
まったく俺なのに頼もしい奴だよお前は。
「お前の告白は許可できない」
「そうか、ここまで言ってダメならしゃーねえわ」
「僕が告白するよ、そうじゃないと意味ない気がする」
その言葉に俺くんの表情は柔らかくなった。
「よかったよ、僕くんが足かせを外せそうで」
僕も俺くんみたいな事を考えていたのか分からないが、自分の言葉だ信じてみよう。
僕は告白に向かった。
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