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「ED…ですか?」 何の躊躇もなく、野本はそう言った。 悲劇としか言いようがない。 まだ9歳だった少年は、何者かに傷つけられ、身体にも心にも深い傷を負ったのだ。 「優衣香と一緒にいた理由は…それか?」 橋本が訊くと、貴久は目を伏せたままため息を吐く。 「子どもが相手なら、そういった行為には及びませんから……」 頭を抱えた野本は膝の上で目を瞑ったままの彩香の額を撫でると、眉を寄せた。 自分がそんな経験をしたなら、耐えられるのだろうか……。 記憶を封印するのは、ごく当たり前の自己防衛としか思えない。 この記憶を掘り返せば、俊介はもしかしたら壊れてしまうのではないだろうか……。 この先の展開を恐れながら、野本は彩香の手を握った。
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