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着替えをしてから野本の運転する車で優衣香と合流することになっている。
いつもより口数少ない野本の様子をチラチラと窺いながら、キラキラと輝く日差しに照らされる街の風景を横目で見る。
──天気はいいのに、どうして心が重いのだろう……。
不思議な気分だった。
ふと、どこで待ち合わせなのか気になって野本を振り返ると、運転中の野本の左手が伸びてきて、彩香の髪を掬った。
「の…野本さん……?」
声を掛けると、少しだけ不機嫌そうな顔になる。
「いつになったら名前で呼んでくれますか?」
催促されているらしい。
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