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「我慢することに意味を感じなくなりました。あなたが嫌がるなら、無理強いはしません。あなたを誰より大事に思ってますから。でも…もしも嫌じゃないなら……」
まっすぐ前を見たまま、野本はそう言った。
きつく手を握り、どこか緊張しているような感じもする。
野本でも緊張することがあるのだろうか……。
また、運転席に座る野本に視線を向けると、その頬が少し紅潮している事に気付いて、冗談で言っているわけではない事に気付く。
ここで嫌と言ったらどうなるのだろうか。
野本の事は…たぶん好きだ。
正直、どうしようもないほど好き…とか、そういうのではないけど、時々その顔を見ていると無性に切なくなる。
胸がときめくのも事実だ。
だからたぶん、好きなんだと思う。
だから付き合ったんだと思うし。
好きだと言ったのも事実だ。
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