707人が本棚に入れています
本棚に追加
小田島茜の家まで来ると、室内をくまなく捜索する。
見つけたいのはただひとつ。
それがあれば麻野井拓郎を事情聴取できる。
鑑識官たちが這いつくばるように室内の細かな部分を確認していく。
引き出しやクローゼット、ベッドの下、キッチンの残飯から、隣接されている倉庫の中までくまなく。
「どう見ても女の一人暮らしだよな。部屋の中まで香水臭いし」
黒崎が鼻をつまむと、五十嵐は笑った。
職業柄、香水は必需品なのだろう。
正直、自分はシャンプーの匂いとか、そういう方が好きなのだが…と、なぜか彩香の顔を思い出してしまう。
──匂いっていうより、ピンポイントで折原なんだな、俺……。
恋の病からは未だに抜け出せていないようだ。
最初のコメントを投稿しよう!