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──こんなに素直で可愛い子を、どうして傷つけることができるのだろう……。
ふと拓郎に対して沸き起こる怒り。
捕まえたら二度と立ち直れないくらい傷つけて、地獄の底に落としてやりたいとさえ思った。
お会計を終えて店を出ると、雑貨屋の前で待機していた二人が歩み寄ってきて、野本がそっと優衣香の手から紙袋を取った。
自分で持ちます…と、言い掛けた優衣香だったが、野本が微笑むから何も言えなくなってしまう。
実にスマートな男だ。
一通り洋服を買った後、上の階の駐車場に繋がるエレベータに向かう途中、ゲームセンターの前を通りかかって、優衣香が足を止めた。
女子高生たちがプリクラを撮っている。
スマホ片手に何やら楽しそうだ……。
「優衣香ちゃん、プリクラは撮った事ある?」
彩香が訊くと、優衣香は首を横に振る。
やっぱりか…と、思いながら、ワイワイやってる女子高生を見つめ、彩香は何かを考え始めた。
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