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「こ…こんにちは」
挨拶した後、
「あの…咲楽ちゃん、何かありましたか?」
そう訊ねると、俊介の目がきらりと光り、深い黒に変わった。
「なぜです?」
訊きながらドアノブから手を離し、彩香の方へ身体を向ける。
「な…なぜって……。なんか、様子がおかしかったので」
そう言ったら、次の瞬間、俊介の手が彩香の部屋のドアを思いきり手前に引いた。
前に倒れそうになった彩香の身体を俊介が押し返し、部屋の中に一緒に入り込んでくると、玄関の壁に思いっきり背中を打ち付けた。
顔をしかめた後、狭い視界の先に、俊介の顔が近づいてくるのが見えた。
目を開ければ、ほんの数センチ先に俊介の顔がある。
まさに壁ドンな状況になり、彩香は目を大きく見開いたまま息を止める。
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