天使の涙と悪魔の微笑

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結局、部屋に上がらせてもらって、一緒にご飯を食べることになった。 赤飯のおにぎりと、弁当を買ってきたけど、俊介には少し量が少なそうだ…と、いくつか軽いおかずを作ることにした優衣香。彩香もお手伝いをする。 キッチンに二人で並ぶと、ふと彩香が疑問に思っていたことを優衣香に訊いた。 「そう言えば優衣香ちゃん、昨日買い物に行くって言ってたけど、何を買ってきたの?」 あの日、俊介に投げつけた袋の中身を彩香は知らなかった。 随分軽そうだったが、もしかして生理用のナプキンが入っていたのかと思っていたのだが……。 「スーパーまで走ったら…なんだか気持ち悪くなって。お手洗いを借りたんです。そしたら……」 お手洗いで生理になったことに気付き、授業で習ったこと思い出してナプキンを購入してみたが、お店のトイレが混んでいて、説明書きを読みながら…なんて余裕がなかったから、家も近いし、一度帰ろうと思ったらしい。 そしたら運悪くあんな現場に出くわしてしまったのだ。 「そうだったんだ……。優衣香ちゃん、下着は?買った?」 その質問に優衣香は首を横に振る。 専用のショーツじゃないと不安になるだろうと、彩香は一度自分の部屋に戻り、まだ開封していなかったショーツを持ってきた。俊介には見せられる物ではないから紙袋に入れて渡した。 優衣香が成長するにはこういった事を教えてくれる大人も必要だ。
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