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「姉の円華も相当親の影響を受けてるね。精神科に長い事通ってるし」 緒方の言葉の後、資料を見ていた彩香は目を見開いた。 「金屋咲楽…13歳、失踪……」 優衣香が語った名前であり、俊介の甥の名だ。 当時中学生だった咲楽は、正月に家を出て行った後、行方不明になっていた。 俊介と円華、そして父親である金屋英彦の三人が、咲楽の帰宅が遅い事を気に掛け、近所を捜索し、その夜に警察に届けを出している。 「如月和久と真美は、孫の失踪を気にも掛けなかったようだね。警察にもあまり協力的ではなかったみたいだよ」 緒方がコーヒーをすすりながらそう言った。 その頃、買い物から帰ってきた登季子さんが、見知らぬ男が彩香の向かいに座ってコーヒーを飲んでいるから、少し驚いて声を上げた。 「今日は何の日ですか?パーティーでもやるんですか?入れ代わり立ち代わり……」 そんなに驚く事だろうか…と、思いながら、彩香は苦笑いを浮かべた。 「登季子さん、お帰りなさい。こちら、緒方さんです」 紹介され、緒方はへらっとした笑みを浮かべて頭を下げた。 「これから二人、男性が来るんです。あと、優衣香ちゃんもしばらくここに泊まることになりますから、よろしくお願いしますね」 「男性が二人?五十嵐さんと野本さんかしら?」 登季子さんが知っている人なら、こんな回りくどい言い方はしないのだが…と、思いながら、彩香は首を横に振った。
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