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「警備部から来ました、堂本(どうもと)右京(うきょう)です」 鼻の下に薄っすらと髭を生やした色黒の男性が頭を下げる。いわゆるガテン系…と、いうヤツだろうか。 「阿達そらです!」 色白で艶々した肌、大きな瞳と筋の通った鼻…まるで女の子みたいな男性が、大きな声で名乗ると、側に居た登季子さんの身体がビクついた。 「なんだか元気のいい方ですねぇ……」 珍しく呆れた様子の登季子さんがそう言うと、 「すみません、教育が行き届きませんで……」と、堂本が頭を下げた。 そらは、外見だけで言えば、どこか五十嵐と似ているかもしれない。 「まだ対象も来てない事ですし、座ったっていいでしょう?」 緒方はそう言って登季子さんが淹れてくれたコーヒーを勧めた。 そのコーヒーカップに手を掛けることなく、堂本が口を開く。 「今後、麻野井優衣香さんの警護を担当させていただきます。その間、しばらくは優衣香さんと如月俊介さんの接触を()っていただく事になります。もちろん、あなたも」 接触をすることで標的が変更される恐れがあると堂本は言う。 「如月俊介さんは過去に誘拐されていますし、その時の犯人が小田島茜さんを殺害した人物だという可能性もゼロじゃない。それに、接触者が増えるとそれだけ危険は増えますから。居場所がバレるのは厄介です」 受け入れたくはないが、そうしなければ迷惑をかけることを理解している。 彩香は目を伏せ、コクリと頷いた。
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