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一時間ほど経って、優衣香と野本、五十嵐が帰ってきた。 部屋に入るなり、優衣香は俊介の姿を探していた。 「俊介さん、優衣香ちゃんの荷物を取りに帰ったの」 彩香が言うと、優衣香は目を伏せて寂しそうな顔をする。 少しだけ赤くなった目を見ると、神藤の元で泣いたのは分かる。 事件の事を話さなければいけないという事は、あの日の事を思い出す…と、いう事だ。 小さな少女の心の傷が、そんなに簡単に癒えるはずがない。 父親が犯罪者だからと言って、その娘まで犯罪者の気持ちが分かるとは限らないのだから。 優衣香の手を取ってソファまで歩くと、彩香が座り、優衣香の手を引いた。優衣香が隣に座ると、左手でその頭を引き寄せて髪を撫でた。 「今日の夕飯、きっとおいしいと思うよ。登季子さん、料理が上手なの」 優しく髪を撫でながら、元気づけようとしているのか、少しだけ声のトーンを上げるから、優衣香はその肩にもたれかかった。
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