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午後7時を過ぎた頃、野本と五十嵐、橋本と本木と俊介が家にやってきた。
部屋に入って来た俊介は、泣いている優衣香の姿を見て荷物を放り投げ、駆け寄った。
「優衣香」
声を掛ければ、まぶたを腫らした優衣香が顔を上げる。
「先生……!」
その姿を確認すると、すぐに両腕を広げて俊介の胸に飛び込んだ。
泣きじゃくる優衣香を抱きしめ、髪を撫で、そのこめかみにキスをする。
彩香は立ち上がり、俊介の肩にそっと触れると、俊介は目で頷いて、優衣香を抱きしめたままソファに腰掛けた。
「少し二人だけにしてあげてもいいですか……?」
彩香が声を掛けると、堂本は眉間にしわを寄せたが、ひとつため息を吐いてキッチンに視線を向けた。
登季子さんは夕飯の準備が終わったら帰ってしまう。まだ、後片付けが終わらないようで、キッチンから水道の水が流れる音が聞こえていた。
その様子を確認すると、堂本は廊下へ出て行く。
登季子さんがいるならいい…と、いう事だろうか。
その背中に続いて、みんなが部屋から出て行くと、リビングには俊介と優衣香だけになった。
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