12/36
前へ
/285ページ
次へ
「で、佳奈はどんな人間ですか?拓郎に騙されているのか、それとも共犯か……」 五十嵐が訊くと、ソファに座っていた橋本がテーブルの上に足を投げ出す。 「俗にいう馬鹿だな。何不自由なく父親の金を使って育ってきて、店の経営も父親に資金を出してもらってる。ガキがやりそうな犯罪には一通り手を染めてるし、男遊びも派手だ。姉の紗代とは正反対な女だよ」 と、言った後、「女優張りに美人だけどな」と、付け足した。 彩香はテーブルの上に乗った橋本の足を気にしながらも、首を傾げていた。 男遊びの派手な佳奈が、なぜ拓郎と一緒にいるのだろうか。 一人の男性に執着するタイプでもなさそうだが……。 「それに、共犯とは考えにくい。遺体を埋めたと優衣香が記憶していた日に、佳奈は女友達と海外旅行に行ってる。フェイスブックで堂々と写真もアップしてるし、出国記録も確認済みだ」
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!

707人が本棚に入れています
本棚に追加