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街に出たことを後悔したのは、それから一時間も経たないうちの事だった。
厚化粧お化けに囲まれてアレルギー反応が出そうになり、野本は顔をしかめる。
夕方を回れば、酒が入っている人も少なくない。
ベタベタと身体を触られ、五十嵐なんかは顔まで触られている。
どちらかと言うと弟キャラだから、可愛がりやすいのだろうか……。
軽く咳払いをすれば、女性たちの動きは止まった。
「冗談通じなーい!イケメンなのにもったいないよ、お兄さん」
誰がお前のお兄さんだ?…と、思ったが、口には出さなかった。
「みんな、この服の持ち主は知らないってことで間違いない?」
五十嵐がなんとか責務を果たそうと声を上げると、
「知らなーい」と、言いながら、女性たちはまた五十嵐の身体にまとわりついていた。
「このまま飲んでいってよー。お兄さんならサービスするし!」
なんて、笑えない事を言い出した。
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