第一部 生い立ちより~昭和18年

69/134
前へ
/274ページ
次へ
学園祭の稽古の為終列車に乗り遅れ、帯広駅長室へ泣きこんだ。駅長さんの計らいで貨物列車に乗せて貰う事になり、焼き芋を十銭ずつで買い、懐にして止若(今の幕別)三人と池田二人の計五人が無蓋車に乗り込んだ。頭を出してはいけないので五人で寄り添い、お芋を齧りつつ暖を取る。九月末の十勝の夜は深けると寒い、友と別れ十時過ぎの池田大通りを一人で小走りに帰った。後になるとあの思い出も懐かしい。
/274ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加