あの日、あの時、あの場所で

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「......これ、どこまで歩けばいいんだよー!」 空の叫びが虚しく響く。 「......私、疲れた......」 そう言って寝転ぶ。 「ここから出られなかったらどーしよう」 「......どーしようか」 空の弱気な発言に泣きそうになる。 「......取り敢えず、探そう。......大丈夫だから」 そう言って、私の肩を軽く叩く。 その仕草に涙が滲む。 「えっ、俺、そんなに強く叩いたか?ごめん!」 私が泣いていることに気がついた空が慌てている。 「違うの。ただ......恋しくなっただけ」 「恋しい?」 「......彼氏にずっと会えてなくて、受験勉強だからしょうがないって思うけどさ、やっぱり、さみしいよ──」 隣にいる空は無言だった。 「ごめん。私の独り言だから──」 「これ」 私の言葉を遮って、空が何かを差し出した。 「なに、これ?」 空の掌に乗っていたのはシルバーの指輪。『Love R&U』と彫ってある。 「か、可愛い!」 「母さんに貰ったんだ。俺の母さん、16の誕生日に彼氏にプロポーズされたらしくてさ。そのときにもらったものを今でも取ってたんだって」 「へー!素敵!」 「それで、恋のお守りだって言ってた。だから、お前にやるよ」 「駄目だよ!そんな大事なもの受け取れない!」 「いいんだ、お前が持っててよ」 そう言って、空が私の手に押し付けてくる。 すると、辺りが眩しく輝いて目が覚めた。
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