1人が本棚に入れています
本棚に追加
「......これ、どこまで歩けばいいんだよー!」
空の叫びが虚しく響く。
「......私、疲れた......」
そう言って寝転ぶ。
「ここから出られなかったらどーしよう」
「......どーしようか」
空の弱気な発言に泣きそうになる。
「......取り敢えず、探そう。......大丈夫だから」
そう言って、私の肩を軽く叩く。
その仕草に涙が滲む。
「えっ、俺、そんなに強く叩いたか?ごめん!」
私が泣いていることに気がついた空が慌てている。
「違うの。ただ......恋しくなっただけ」
「恋しい?」
「......彼氏にずっと会えてなくて、受験勉強だからしょうがないって思うけどさ、やっぱり、さみしいよ──」
隣にいる空は無言だった。
「ごめん。私の独り言だから──」
「これ」
私の言葉を遮って、空が何かを差し出した。
「なに、これ?」
空の掌に乗っていたのはシルバーの指輪。『Love R&U』と彫ってある。
「か、可愛い!」
「母さんに貰ったんだ。俺の母さん、16の誕生日に彼氏にプロポーズされたらしくてさ。そのときにもらったものを今でも取ってたんだって」
「へー!素敵!」
「それで、恋のお守りだって言ってた。だから、お前にやるよ」
「駄目だよ!そんな大事なもの受け取れない!」
「いいんだ、お前が持っててよ」
そう言って、空が私の手に押し付けてくる。
すると、辺りが眩しく輝いて目が覚めた。
最初のコメントを投稿しよう!