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いつもの家の風景で、朝日が昇っている。
「夢?だったのかな?......」
しかし、私の手の中にはあの指輪があった。
「夢じゃ、無いんだ」
シルバーのリングが現実だと語っていた。
そんな出来事から一週間が経ち、今日は私の16歳の誕生日。
いつも通り、学校へ向かう。
「海美!誕生日おめでとう!」
「海美ちゃん、これ誕プレ!」
「ありがとー!」
友達の由美と佳奈からのプレゼントに顔がほころぶ。
ただ、去年まで来ていた陸空くんからのお祝いメッセージが無く、何度も何度もスマホを見ている。
「海美!彼氏からなんかもらったのー?」
「それがね、まだ何もないの」
「えっ!珍しーね!陸空先輩って毎年必ず祝ってくれてたのに。やっぱり忙しいのかなー」
「......うん」
「ま、受験が終わるまでの我慢だって!」
「うん」
その日は少し期待して待っていたのだが、陸空くんからは連絡もプレゼントも何も無かった。
「海美!帰ろー」
放課後になり、家に帰宅する。
「海美、大丈夫?今日、全然元気なかったけど」
「うん」
「やっぱり陸空先輩のこと?」
「......うん」
「連絡してみたら?」
「でも、忙しいんじゃ──」
「彼女なんだからたまには我儘言ってもいいんじゃない?」
「......うん」
その言葉に頷いてスマホを取り出し、陸空くんにLINEを打つ。
『会いたい』
その4文字だけを送信した。
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