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夜9時。
メッセージを送った2時間後には既読がついたが返信が来ない。
既読がついてから2時間は経っている。
「......嫌われたのかな?」
と、その時LINEの通知を知らせる音がなった。
スマホに飛びつき、メッセージを確認する。
メッセージは陸空くんからだった。
『今、出てこれる?』
その言葉を見た瞬間、家の外に飛び出した。
「早っ!」
懐かしい声がして振り向くと、陸空くんが笑っていた。
「陸空くん!会いたかった......」
「本当にごめん。受験勉強とバイトが忙しくて......」
「全然ヘーキ!」
偽りの笑顔と言葉が零れる。
「それと、誕生日おめでとう。16歳だね」
「うん」
「これ、プレゼント」
そう言って差し出したのは小さな箱。
「これ──」
「市川海美さん」
指輪?と、聞こうとしたところで、陸空くんに遮られた。
「俺は絶対に海美のことを幸せにします。だから、俺がしっかりと自立した大人になるまで待っていてください。そして、俺と結婚してください!」
一気に言い切った陸空くんは頬が紅潮していた。
「陸空、くん?」
陸空くんが差し出した小箱を開けると、中からシルバーのリングが出てきた。
「これ、まだ学生だから安物だけど......」
よく見ると『Love R&U』と、彫ってあった。
「陸空くん、嬉しい!ありがとう」
「それで、その、プロポーズの返事は?」
「.......よろしくお願いします」
私の言葉を聞いてガッツポーズをする陸空くんはとても可愛かった。
「じゃあ、俺帰るよ。しっかり勉強しないとな」
今までふわふわしていた気持ちが一気に萎んでいく。
「......うん。勉強、頑張ってね」
「本当にごめんな。でも、俺は海美と結婚したい。海美をしっかりと支えていけるようにしたい。俺も海美とずっといっしょにいたいけど、今は頑張りどきだな」
陸空くんも同じだったんだと思うと嬉しかった。
「分かった。頑張ってね。それで早く自立した大人になってね」
「頑張るよ。早く海美のところに戻ってくる」
じゃあねと手を振って陸空くんは帰っていった。
左手にはめられた指輪が輝いている。
未来で会おうね、空。
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