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翌日、鈍く痛む痣をさすりながら登校すると、君がいた。平日なのだから当たり前だ。
私は声を掛けようとして、それを辞めた。君の周りに人がいる。先日までの事が嘘のようにへらへらと話している連中だ。君は少しぎこちなく笑いながら、話を合わせようとしているのが見て取れた。
きっと視界から消えないと、君がちらちらとこちらを見ようとする度に私までドキドキしてしまう。お互いの気の毒だ。私はそっと教室を出て、溜息を吐いた。
腕に刻まれた傷は、私が次の標的である事を示している。同級生は誰も声を掛けず、あからさまに避ける人もいる。
「おう、ホームルーム始まるぞ」
担任が興味なさげでも視線を投げてくるので、私は適当に返して中に入る。
君が一瞬表情を明るくして、それから慌てて視線を下げたのを、私は見逃さなかった。
嬉しい気持ちを隠すように渋い顔を作って、私は席に着いた。
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