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皆が小鳥遊に恐怖の目や、こそこそと言い合う中、千波はいつも通り空を見ていた。
そんな中、一人の男子がこう言い放った。
「おもしれー話だよな。学校の王子様が本当は人殺しの子だなんてよ。」
小鳥遊は咄嗟に否定した。
「違う!親父は人殺しじゃ…「嘘はいらねぇんだよ!」」
最後まで言うことができなかった。
「東京に行った友達がよ、お前の元クラスメートと仲良くなって教えてくれたんだって。人殺しの子が傍嶌高校に行ったってよ。それで名前聞いたらお前だって言うじゃん。人殺しの子が近くにいたとか…あぁ、怖い!」
小鳥遊は、あぁあの頃と同じだと絶望した。
千波はスマホを出し、無理やり入れられたクラスラインにとあるURLを載せた。
そして一人の女子生徒がそのURLを開いた。
「2011年5月、東京で起きた一家殺人事件。その家に残された指紋や目撃証言から犯人は小鳥遊 裕也容疑者とされたが、本人は最後まで容疑を否定。その後、裁判でも無実を叫んでいたが、判決は懲役10年の有罪となった。
しかしそれから数年後、目撃証言が嘘だったことと真犯人が見つかった。
そう、小鳥遊は無罪だったのだ。----」
その記事に皆動揺し、小鳥遊は呆然としていた。
「嘘はいらねぇんだよ。」
千波はさっき主犯の男子が言った言葉を言った。
皆が千波を見た。
「は…?嘘じゃ…「嘘はいらねぇんだろ?」」
千波は静かにその男子の所へ歩を進めた。
「嘘を信じてんじゃねぇよ。そしてその嘘を真実にしようとするな。嘘は嘘のままなんだよ。
お前言ったよな?人殺しの子が近くにいるのが怖いって。お前らがもしこのまま嘘を信じ続けてこいつを追い込み続けたら、こいつ死ぬぞ。お前らは裁かれることのない罪を背負わなくちゃいけない。その手で殺してなくても、こいつの心を追い込み殺したことになるんだよ。
人殺しが近くにいるとか、あぁ怖い。」
千波はそう言うと教室を出て行った。
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