傍嶌(かたじま)

3/8
前へ
/32ページ
次へ
ピピピッ、ピピピッ…パン! また朝がやってきた。 いつも通り、歯を磨き顔を洗い、髪を整え制服を着て、食堂へ向かう。 朝食を食べたら、徒歩三分の傍嶌高校へ向かう。 私は1年C組で、教室は四階にある。 三階が2年生の教室で、二階が3年生だ。 ガラガラガラ… ガヤガヤといろんな声が混じる教室に千波はいつも通り足を踏み入れ、誰とも挨拶することもなく自分の席に座った。 千波は基本誰かとかかわることが嫌いで、相部屋の茉莉先輩ぐらいしか話す相手がいない。 でもそれは人が嫌いな千波にとってありがたかった。 最初のころは人を寄せ付けない千波をうかがうようなクラスメートも、今では誰も千波のことを気にかけたりしなくなった、ただ一人を除いては…。 ガラガラガラ 「おはよー!」 「おう!おはよー。」 「おはよー、翔くん!」 小鳥遊 翔。大きい目に程よい高さの鼻、180㎝近い身長にくせ毛でふんわりした髪。 その上明るくだれとでも仲良くなれて、この高校の王子様的存在だ。 「おはよっ、天羽さん!」 小鳥遊だけが千波に声をかける。 いつも通り無視する千波に女子生徒たちは、「ほんといつもすました顔して…」「小鳥遊君がわざわざ声かけてくれてるのに無視って…」とこそこそ言い合う。 千波の耳にはその声はしっかり聞こえているが、千波は全く反応しない。 理由は簡単だ、めんどくさいから。 ガラガラガラ 「席に着けー!」 担任の田所先生が入ってきて皆はぞろぞろと自分の席に着いた。 千波は先生の話なんか右から左に聞き流して、真っ青な空に描かれた一筋の白線を眺めていた。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加